脊柱側弯症は脊柱の変形です。変形とは、脊柱の湾曲が「S」または「C」という異常な形状になっていることを意味します。深刻に思われるかもしれませんが、幸いにも脊柱側弯症のほとんどの症例が軽度であり、様々な合併症には至りません。日本では、脊柱の湾曲が30度を超えている患者さんのみ脊柱側弯症の治療が推奨されています。 脊柱側弯症の原因 脊柱側弯症で最もよく見られるものは特発性脊柱側弯症です。この病態の正確な原因は明らかになっていません。ただし、この病態を診断された患者さんのほとんどに脊柱側弯症の家族歴があることが、医学専門家によって確認されています。幸いなことに、これらは軽度の脊柱側弯症であり、通常は治療を必要としません。ただし、脊柱の湾曲が進行したかどうかを調べるため、日本では脊柱側弯症専門クリニックで診察を受けることが重要です。 脊柱側弯症はまた、非構造性および構造性の2つのカテゴリーに分かれます。 非構造性(機能性)脊柱側弯症 非構造性脊柱側弯症(機能性脊柱側弯症としても知られています)の場合は、一時的なものです。アスリートが筋肉のバランスが崩れる原因となるようなワークアウトやエクササイズを行うと起こります。これによって、脊柱側弯症のような姿勢の変形を引き起こす可能性がありますが、様々な治療法で変形を治すお手伝いができます。非構造性脊柱側弯症の他の原因として、筋肉のけいれんを引き起こし得る炎症(虫垂炎など)があります。医師が基礎疾患を特定し、治療が成功すると、脊柱の湾曲は正常に戻ります。 構造性脊柱側弯症 構造性脊柱側弯症は脊柱の異常な湾曲が永続的に続きます。主な原因は次のとおりです。 神経筋の病態 これらの病態には、脳性まひ、二分脊椎、筋ジストロフィー、筋骨格の腫瘍などがあります。神経が適切に作用しないため、筋肉がうまく制御できていない状態です。これらの病態の患者さんは、背筋を伸ばして座ることができません。 先天性障害 一般的に先天性欠損症と呼ばれています。赤ちゃんの体が母親の子宮内でゆっくり発達するときに椎骨が完全に成長していない状態です。その結果、脊柱に必要な支えがない状態になります。先天性障害は「error segmentation(分節異常)」によって起こることもあります。脊柱の骨が分離できず、安定させるための部位を形成できなくなると起こります。 遺伝性の病態 次の2種類の遺伝性の病態が脊柱側弯症を引き起こす可能性があります:マルファン症候群とダウン症候群です。日本における脊柱側弯症の手術は、体内のゆるんだ靭帯の処置に対処できるため、通常マルファン症候群の患者さんに対する治療となっています。一方、ダウン症候群の患者さんが脊柱側弯症を発症した場合は、湾曲が進行しないようにするために、ブレイスを着用する必要があります。…
脊柱側弯症の初期の段階では、症状はわかりにくいことが多く、このため症状を見逃しやすくなっています。お子さんの多くは、思春期になって急速な成長段階に入るまで、脊柱側弯症の発症に気付きません。成人では発見がさらに難しいこともあります。腰痛のある成人の脊柱側弯症患者さんの多くは、特に脊柱の湾曲が軽度であった場合、病態に気づかないままです。脊柱の湾曲が中等度から重度の患者さんでも、大半の場合、診断されないままとなっています。 確認すべき点を知ることで、脊柱の異常な湾曲を引き起こしている小さな変化に気づきやすくなります。異常を早期に発見することで、重度になる前に問題のある部分を治す時間が多く取れます。ただし、脊柱側弯症は複雑な病態であるため、日本では脊柱側弯症専門クリニックでのみ診断を受ける必要があることにご注意ください。 早期発症側弯症とは何ですか? 早期発症側弯症は、まれな脊柱の湾曲であり、この複雑な問題を解決するには、医師の専門的な知識と経験が必要です。早期発症側弯症は、年齢と湾曲の種類に応じて、以下に示す3種類に分けられます。 乳児特発性脊柱側弯症は、3歳前に発症し、女子よりも男子に多く見られます。ほとんどの症例は自然に消失しますが、重症度がさらに進行することがあります。 若年性特発性脊柱側弯症は、3~9歳で発症する脊柱側弯症と定義されています。この病態は、男子よりも女子に多く発症します。これらの湾曲は通常、重度な状態に進行するリスクが高いものです。 先天性側弯症は、胎児の脊柱の骨の部分が正しく形成されない、または癒合すると起こります。脊柱側弯症の大半は「特発性」とみなされ、小児期に明確な原因がなく発症しますが、少数の小児では出生前に脊柱の湾曲が起こります。脊柱の欠損が軽く、脊柱の1つ分節のみに起こることもあれば、脊柱のほぼ全ての分節に起こる場合もあり、この場合は重度の変形に至ります。 症状 脊柱側弯症で最もよく見られる初期徴候は、脊柱の過剰な湾曲による姿勢の変化です。次のようなものがあります: 肩の高さが左右で違う、片方の肩甲骨がもう片方より飛び出ている 片方の肋骨が突き出していて「こぶ」になっている…
ご両親に脊柱側弯症の病歴がある場合、おそらくあなたにも同じ病気にかかる可能性が高いと考えられています。最初は痛みを感じないため、発症に気付くことはできません。ただし、治療せずに放っておくと、さらに合併症を引き起こす可能性があります。脊柱側弯症が重度な状態に進行するのを防ぐために、手術が必要となる場合があります。 脊柱側弯症とは、小児の成長期に起こることがある脊柱の不自然な湾曲のことです。世界的な健康情報サイトであるMedical News Todayによれば、症状は思春期直前に現れることが多いようです。医学専門家にも脊柱側弯症の発症要因は分かっていませんが、神経筋の障害や筋肉の衰弱に関係しています。 あなたが軽度の脊柱側弯症の場合、日本では通常、担当医があなたに理学療法を勧めたり、脊柱側弯症用のブレイスの装着を求めることがあります。これらを行わない場合は、最終的にあなたの生活の質に影響を及ぼす可能性があります。脊柱側弯症が原因で、以下の様なさまざまな健康上の問題が生じる可能性があります。 心臓の病気 脊柱が横向きに曲がるため、心臓に過剰な力がかかります。心臓は酸素を十分に含んだ血液を他の体組織へ送り出すのが困難になります。 呼吸困難 脊柱が胸郭を圧迫することによって、呼吸が困難になることがあります。また、湾曲が悪化するにつれて脊柱が硬くなり、呼吸時の肺の拡張が抑制されます。 慢性的な痛み 脊柱が背中の神経を圧迫するため、時折、慢性的な痛みが生じます。また、関節にも炎症が起きるため、腰部が腫れることもあります。 平衡障害 日本では脊柱側弯症を治療しないと、「固有感覚」に何らかの問題が生じる可能性があります。これは、目を閉じていても、あなたの体の位置を感知する感覚です。身体のバランスや協調に影響を及ぼします。 …
思春期特発性側弯症は子どもによくみられる疾患です。シンガポールのヘルスハブという健康ウェブポータルによると、この疾患は11歳から14歳の女子に多く発症します。お子様がこの疾患と診断されても、心配することはありません。特発性側弯症は通常、進行性の脊柱側弯症ではないため、深刻な健康上の問題が生じることはありません。しかし日本では、症状をモニターするため、脊柱側弯症の専門医に相談することが重要です。 特発性側弯症以外に、これまで知られていなかった他の種類の脊柱側弯症があります。これらは、脊椎を左右に異常に湾曲させる基礎疾患がある場合に発症します。ここでは稀に発症する脊柱側弯症をご説明します。 神経筋性脊柱側弯症 神経筋性脊柱側弯症の患者さんは、神経障害により、体内の随意筋を適切に動かすことができません。その結果、背中の筋肉が脊椎を支えにくくなります。多くの場合、この疾患は以下の障害に関連しています。 脳性まひ(CP) 脳性まひの子どもは、神経筋性脊柱側弯症のリスクが高いと考えられています。なぜなら、脳性まひは平衡障害や筋力低下を伴うからです。日本では、治療のために脊柱側弯症の手術を受ける必要があります。 二分脊椎 胎児が神経管内にいるときに、脊椎が適切に形成されないことがあります。二分脊椎の大半は重篤な健康上のリスクをもたらすものではありませんが、一部の乳幼児で重症となることがあります。重症な症状の場合、脊柱側弯症などの整形外科的治療が必要となることがあります。 脊髄性筋萎縮症 筋肉のコントロールに使われる運動ニューロンが体内にない遺伝子の疾患です。このため、脊髄の筋肉が弱すぎて、椎骨を正常な位置に保てません。残念ながら、治療法はありませんが、日本の脊柱側弯症治療の中には症状を遅らせるのに役立つものもあります。 症候性側弯症 名前が示すように、症候が原因で脊柱側弯症が発症します。症候は、障害や疾患に関連していることが多いため、症候を持って生まれた子どもは脊柱側弯症を発症する可能性が高くなります。子どもが成長するにつれて、脊柱の湾曲が重度の症状に進行する可能性があるため、ご両親は脊柱側弯症の専門医に相談する必要があります。…